単行本 
讃岐の一豪農の三百年 讃岐の一豪農の三百年
木谷家と村・藩・国の歴史

木谷 勤著


定価: 本体2000円+税
2014年7月刊
ISBN978-4-88708-416-2
四六判 271頁

在庫あり

江戸初期〜昭和末年、讃岐の国(香川県)仲多度津郡葛原村を本拠に続いた木谷家三百余年の歴史。ドイツ近現代史専門の歴史家が豊富な文書(多度津町文化財) を駆使、世界史的視点も交えながら村と藩を語る


「はじめに」から
木谷家は有力豪農として三百年以上続いたとはいえ、どの時代でも社会のほぼ中流に属し、歴史上特に際立つ事績もない平凡な「家」に過ぎなかった。ただわが家の一つ特異な点は、それが歴史の変動の中でさまざまな危機にあいながら、多様な記録や記憶――ほぼ一世紀にわたる庄屋覚書や検地帳その他文書類、さらに村の社(八幡宮や荒神宮)に寄進した数々の石造物――を遺したことである。これは比較的稀な例ではあるまいか。
実は筆者は歴史家であるが、ドイツ近現代史や世界史が専門で、若い頃わが家の歴史への関心は薄かった。そのため父の歿するまで、わが家に古い文書が残され、父がそれを多度津町に寄付して町の文化財になっていることも知らなかった。まして地元の郷土史の皆さんがこれらの文書を利用して葛原村を中心に郷土史の研究とその成果をまとめておられることを知るよしもなかった。
そしてあとがきにも書いたように、これらの郷土史家のうちにはかつてわが家と深い関わりを持たれた方もおられ、その方々が私に木谷家文書の解読や調査を勧め、かつ援助して下さった。専門歴史家でありながら日本史や郷土史にあまり関心を持たなかった筆者に、わが家の歴史を村や藩そして国の歴史のなかで見直し、また逆にわが家や村から周りの藩や国に光を当ててみようと決心させたのも、こうした郷土を愛する方々の熱意とご好意であった。
こうして書かれた本書は、また筆者自身にとって、長い三百年の後、今まさに消滅しようとする古  い「家」に捧げる「墓碑銘」の役割を果たすと思われる。
【主要目次】
第1章 前史―安芸から讃岐へ
第2章 百姓になった木谷家
第3章 豪農および藩の「身上がり志望」
第4章 近代国家体制をめぐる闘い
第5章 近代化への順応と破綻
第6章 総力戦と敗戦による旧秩序の瓦解
【著者紹介】
木谷 勤 きたに つとむ
1928年生まれ。
東京大学文学部卒業。名古屋大学名誉教授。主要著書/『ドイツ第二帝制史研究』
(青木書店 1977年)、『ドイツ近代史』(共編著 ミネルヴァ書房 1992年)、『帝国主義と世界の一体化』(山川出版社 2013年)、他
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