単行本 
戦争未亡人の世界 戦争未亡人の世界
日清戦争から太平洋戦争へ

千代田明子著


定価: 本体2800円+税
2010年12月刊
ISBN978-4-88708-391-2
A5判 185頁

在庫あり
従来の戦争未亡人に関する研究の多くは太平洋戦争期に照準をあてているが、本書では「未亡人」像を近代日本が体験した戦争と社会的な状況に位置づけるため、対象を明治27年(1894)の日清戦争開戦から占領体制がほぼ終了した昭和29年(1954)までとした。その間の、新聞・雑誌・小説・映画という異なった表現形態に表象された、時代が生み出した「未亡人」像を分析し、これらの「描かれた未亡人」像(時代が「未亡人」に託した多様な思いと見なして「未亡人幻想」と名付け)と国家が提示した婦人像との連関を分析し読み解こうとする。
【主要目次】
第一章 勝利の喧騒のなかで
 第一節 あらまほしき姿
 第二節 再婚可否論
第二章 現実と幻想のはざま
 第一節 貞女の道
 第二節 茶筅髪への憧憬
第三章 時代の片影
 第一節 移れば変る
 第二節 敗戦下を生きる
第四章 忘れえぬ記憶
 第一節 止まった時間
 第二節 抱えた重さ
第五章 見えない鎖
 第一節 生きぬく白ゆり 
 第二節 幸福という擬態
おわりに
【書  評】
『軍事史学』2011年6月(第47巻第1号) 「文献紹介」より

(前略)本書は,日清戦争から太平洋戦争,そして戦後にいたる時期を対象として,戦争未亡人について考察している。いわゆる実証的な歴史研究ではない。日本ではとくに1990年代から2000年代にかけて学界の関心を集めるようになった,カルチュラル・スタディーズの表象論の著作として評価されるべきである。(略)読後の印象として,戦争未亡人論というよりも,戦争未亡人をあつかった作品群についてのメディア批評,文芸批評としての面白さが,本書の特徴と魅力のひとつだとも思った。(略)だが,戦争未亡人を正面にすえた研究を,表象論のジャンルでまとめあげ,特定の政治的・イデオロギー的メッセージで潤色せず,あくまでも著者個人の感性にもとづいてまとめあげているところに,ユニークさと活力を感じる。著者の言葉を借りれば,現代という「時代が未亡人に託した多様な思い」のひとつが,看護師として,研究者として,ほとばしるように生をまっとうしている著者を通して,この著作に描きだされているといえよう。        評者:小菅信子
【著者紹介】
千代田明子 ちよだあきこ

2004年3月 北海学園大学大学院文学研究科 日本文化専攻修士課程修了
2007年3月 北海学園大学大学院文学研究科 日本文化専攻博士課程単位取得退学
2008年3月 博士文学(北海学園大学)
                                            2010年11月現在
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