世界史の鏡 地域7巻
ナイル ナイル
地域をつむぐ川

加藤 博


定価: 本体1600円+税
2008年7月刊
ISBN978-4-88708-504-6
四六判並製 163頁

在庫あり
古代文明以来連綿として文化的・政治的な共同体として続いてきたナイル峡谷。エジプトを中心に改めて独自の“地域”として捉えると、まさに“人種と民族のるつぼ”に暮す人びとが紡ぎだす豊かな世界が見えてくる! エジプトを訪ね続けて30年の著者が語るナイルの世界。
「あとがき」から---
……年にかならず一度は訪ねるようにしている。その間、暑く騒がしいエジプトにあって、ナイルを見ると心底、ほっとする。友人や知人をエジプトに案内することも多かったが、かれらに誇らしい気持ちで、ぜひ見てもらいたいと思ったのも、ナイルであった。
そのナイルを主人公にエジプトを論じるのは、苦しいながらも、楽しいことである。……
【主要目次】
第一章 母なるナイル
1 ナイルは「海」
2 ナイルの神秘
3 つなぐナイル
4 ナイルは文明の十字路
第二章 ナイルがつむぐ社会
1 エジプトはナイルの賜物
2 ナイルのベイスン灌漑
3 ナイルとチグリス・ユーフラテス
4 ナイルの近代
5 イデオロギーとしての「エジプト社会」
第三章 ナイルで生活する人びと
1 エジプトの村落
2 アブー・スィネータ村との出会い
3 アブー・スィネータ村の醜聞
第四章 反転する世界:砂漠に生きる人びと
1 ナイルと砂漠
2 遊牧民「革命」との出会い
3 砂漠に消えた「革命」
第五章 「ナイル峡谷」の政治経済学
 (節タイトル略)
第六章 社会関係のなかの「地域」
 (節タイトル略)

 
【書  評】
『史学雑誌』 第118編第10号「新刊紹介」より(2009年10月)

本書はナイル川を中心とした「地域」の観点から,エジプトの歴史を著者のこれまでの三○年以上の研究をもとに,多角的な視点から取り上げた概説書である。・・・(構成と内容の紹介)略・・・ナイル渓谷という地理環境に農業生産を始めあらゆるライフサイクルを規定されてきた閉鎖的「エジプト」,という紋切り型の既成概念に対して著者は繰り返し批判を加え,新たな「地域」観察の方法を模索し新たな地平を目指すことを提唱し,また自らの課題としている。また同時になによりもエジプトを愛してやまない,一人の研究者の研究史が垣間みられる本書をご一読いただきたい
                                            評者:吉村武典
【著者紹介】

加藤 博 かとうひろし

1948年生まれ。
一橋大学大学院経済学博士課程修了(経済学博士)。
東京大学東洋文化研究科助手、東洋大学文学部(教養課程)人文科学科助教授、一橋大学経済学部助教授・教授を経て、
現在、一橋大学大学院経済学研究科教授。
専門は、アラブ社会経済史

主著
『文明としてのイスラム』1995年 東京大学出版会、『アブー・スィネータ村の醜聞』1997年 創文社、『イスラム世界の常識と非常識』1999年 淡交社、『イスラム世界論』2002年 東京大学出版会、『イスラム世界の経済史』2005年 NTT出版、『「イスラム vs. 西欧」の近代』2006年 講談社現代新書
                                                         2008年7月現在
 HOME  会社案内 | 近刊案内 | 書名一覧・索引 | 注文について | リンク集
Copyright (c) 2005 Tosui Shobo, Publishers & Co., Ltd. All Rights Reserved