【主要目次】 | |||
序 章 ハイチへの眼 第1章 栄光のハイチ 歴史上最初の黒人共和国 ハイチ革命の勃発 「人権宣言」と黒人奴隷制 ナポレオンに抗して 第2章 「世界システム」のなかのカリブ 「プロト・グローバリゼーション」 アフロ・カリブの形成 「プランテーション革命」と「世界システム」 ハイチ独立の世界史的意義 第3章 苦難のハイチ 独立200年のハイチ 未完の「脱植民地化」 苦渋の選択 国際的孤立のなかのハイチ 第4章 「ポストコロニアル」のカリブ カリブの「脱植民地化」 カリブの自立と連帯 アイデンティティの模索 終 章 ハイチからの問いかけ 「過去の克服」 ハイチによる「補償と返還」要求 歴史認識の共有のために |
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【書 評】 | |||
『西洋史学』2008年No.232〈2009.3.25〉書評から (前略)・・・ 著者は、高校を卒業して間もない大学生にハイチについての知識を問うている。ハイチの位置の正答率は9パーセント、連想することを7つまで書かせたが、最高でも3つを書いたのがせいぜいで、ゼロが70人、一人当たりの平均は0.4個、連想した言葉は、「黒人」4人、「フランス」または「フランスの植民地」あるいは単に「植民地」が4人、「独立」2人、「コーヒー、ナポレオン、トゥサン・ルヴェルチュール、ヴードゥー教、小さい国、国旗、サン=ドマング、国連軍」などが各1人という結果だったという。こういう結果から考えても、本書は、高校の世界史を教えている教員、歴史に関心のある学生、ヨーロッパとアメリカ合衆国しか知らない人々、アジアやアフリカに関心のある人々など、広く読んでもらいたい良書である。・・(略)・・ハイチは世界初の黒人共和国として生まれたにもかかわらず、現在は筆舌に尽くしがたいほどの困難な国情にある。そのような栄光の独立史と現代の苦難のあいだの落差はとうして生まれたのか。その理由を近代世界史の中のカリブというグローバルな連関の中で考える。それが著者の意図する本書の狙いである。・・(略)・ 1804年ハイチは独立を宣言し、翌年最初の憲法を制定した。そこでは「ハイチの国民は肌の色にかかわりなく黒人と呼ばれる」と規定された。これによって、黒人やムラート(白人と黒人の混血)はもとより、ハイチに残留してハイチ国民として認められた白人もすべて「黒人」と呼ばれることになった。これは、当時の国民国家が、暗黙のうちに前提とする「国民=白人」国家とは対極にあるものであったとする説明は、とりわけ興味深い。・・(略)・・最後になったが、第4章のポストコロニアルの解説は、とてもわかりやすく、理解しやすい解説だと感じた。ネグリチュードやクレオリテの問題を、普通の言葉で説明するこの部分は、学生たちに読ませたい説明である。〈評者:藤川隆男〉 |
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【著者紹介】 | |||
浜 忠雄 はま ただお 1943年札幌生まれ。 1975年北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。北海道教育大学岩見沢校助手、同助教授、同教授を経て、 2003年より北海学園大学人文学部教授。 主著 『南北アメリカの500年 第2巻 近代化の分かれ道』(歴史学研究会編・共著)1993年 青木書店、『講座世界史 第2巻 近代世界への道』(歴史学研究会編・共著)1995年 東京大学出版会、『岩波講座世界歴史 第17巻 環大西洋革命』(共著)1997年 岩波書店、『ハイチ革命とフランス革命』1998年 北海道大学図書刊行会、『フランス革命とナポレオン』(専修大学人文科学研究所編・共著)1998年 未来社、『文化アイデンティティの行方』(恒川邦夫他編・共著)2004年 彩流社など 2007年12月現在 |
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