刀水歴史全書91
妖獣バニヤップの歴史
装画:服部しほり「バニヤップ」
妖獣バニヤップの歴史
オーストラリア先住民と
白人侵略者のあいだで


藤川隆男著


定価: 本体2300円+税
2016年7月刊
ISBN978-4-88708-431-5
四六判 332頁



在庫あり
       
     バニヤップ

バニヤップの物語で紹介するオーストラリアの歴史!京都の若手画家たちとのコラボレーションで美しい表紙とカラー口絵 8頁を実現。心は「本の世界観を日本画でつなぐ」

バニヤップはオーストラリアの先住民に伝わる伝説上の生き物です。イギリスによる侵略が進む過程で、白人入植者の民話として取り入れられて、今では有名な児童文学に生まれ変わり、広く知られたキャラクターになりました。
本書は、オーストラリアの歴史を白人による侵略・先住民殺戮の歴史としてだけではなく、白人入植者たちが先住民の文化・精神世界を大きく変えてしまった歴史として描き出します。その意味を考える手がかりとして、日本の遠野物語の世界の妖怪たち、とくに河童にも登場してもらいました。何だかバニヤップとよく似ています・・。
【目  次】
幕明―ほくは何者なんだ?/鳥+ワニ=バニヤップ/岩絵の具/
     魔術が支配する世界
登場―バニヤップ発見/言葉の起源/民話に登場するバニヤップ/恐怖の沼/
     魔牛/野生の白人
呼称―センター試験に落ちるぞ/アボリジナルとなぜ書くのか?/ドリーミング
悪霊―霊たち/小さいおじさん/魔術師やバット・バット/水の霊・ムルヤウォンク/
     鳥の悪霊・ミンカ/死者の霊
遠野―柳田國男/ザシキワラシや猿の経立/河童/オマク/比較分析
巨人―博物学と怪物/巨人族と入植者/妖怪の段階/パタゴニア人/
     ボタニー湾の野生人/見せ物として
倒錯―逆さまの世界/赤道祭り/蘇るエキドナ/水モグラ
幽霊―見えない侵略者/天然痘の猛威/白い悪魔ウンダー/蘇る死者/
     白人=幽霊説の検証/兵士の聖なる踊り/キャプテン・クックは死んだ
怪物―箸休め/探索再開/スワン川の畔/リヴァプールの怪物/ワンガル
科学―総督代理との出会い/頭蓋骨/馬の奇形/最後はオウエンへ
偽物―1848年・革命の年/地方新聞の勃興/1849年・野ブタ/1850年・馬鹿/
     1851年・金の発見/チャリカム
政治―バニヤップ選挙区/1852年・新語/1853年・議会外運動/
     バニヤップ貴族階級/ゴーラほら吹き協会
諸説―1854年・課題/不機嫌なバニヤップ/ダイプロトドン説/牛鳥説/アシカ説/
     恐竜説/蒸気船バニヤップ号
空想―タスマニアのバニヤップ/人間の木/バニヤップ文学/クーイー/児童文学/
     劇場と映像/先住民文学
目撃―臆病な生き物/本物を捜そう/ラクダ説/事件がなければバニヤップ/
     ハーゲナウアー/ダイナマイトで爆破/元祖バニヤップ/
     バー氏のシルクハットほど太い/モハ・モハ
旧友―親愛なる旧友バニヤップ/タンタヌーラのトラ/劇的要素に欠ける/
     百獣の王バニヤップ/白人の神話/大英帝国の大ウミヘビ/
     ネス湖の怪物バニヤップ
神話―水犬/水の交わるところ/バニヤップは悪霊か?/図解/空間/語り継ぐ
閉幕―ミスショット・忍/九十九神/百 終わりは始まり

*見返しの虫の数は全部で5匹です(答えを知りたかった方いますか?)
【著者紹介】
藤川隆男  ふじかわたかお
1959年生。大阪大学文学研究科博士後期課程中退。現在,大阪大学文学研究科教授。
主な著書に『猫に紅茶を』『人種差別の世界史』,編著に『オーストラリアの歴史』『白人性とは何か?―ホワイトネス・スタディーズ入門』『アニメで読む世界史(1・2)』
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