人間科学叢書47 
ローマ教皇庁の歴史 ローマ教皇庁の歴史
古代からルネサンスまで


B.シンメルペニッヒ著
甚野尚志・成川岳大・小林亜沙美訳


定価: 本体6,000円+税
2017年11月刊
ISBN978-4-88708-432‐2
A5判 500頁

在庫あり

古代ローマのキリスト教信徒共同体から教皇庁の基盤が確立した15世紀までの通史。政治・教義・法・制度・典礼史を説き,教皇庁の経済的社会的な側面から教皇及び補佐役たちの思考・心性までも考察した。現在,世界中で最も読まれている中世教皇庁史の概説書。

[西洋史研究必携]
   教皇庁はヨーロッパの古代に始まり,中世から現代にまで続く制度である。
   教皇庁の歴史は,ヨーロッパの歴史にしばしば決定的な影響を及ぼしてきたので,
   特別に宗教的な関心がなくても歴史を知ろうとするものには大きな関心の的に
   なってきた。実際,カトリック信者でない多くの研究者が,教皇庁研究を行っている
   ことは特筆すべきことだろう。
[教皇はローマ司教]
   教皇は今日でもなお「ローマ司教」,「西方教会の総大司教」,そして「普遍教会の
   最高位の司牧者」としての権威,特権,義務を有している。これらの称号は
   古代末期と中世に歴代の教皇が獲得し,それ以来受け継いできたものだが,
   「ローマ司教」が歴史的に見て最古の教皇の称号であり,また最初の千年間に
   ついては,最も重要な意味を持つ称号であった。
[本書が宗教改革の初期で終わる理由]
   もちろん書物の頁数の問題であったが,それだけでなく,近現代における教皇庁の
   基盤がすでに,15世紀頃までには形成されていることも大きな理由である。
   いずれにしても,近現代の教皇史に関心がある読者にとっても本書はよい
   入門書となるであろう(「序文」から)。
[16世紀後半以後]
   (略)古代末期と中世に発展した,教皇権による至高権への要求,そしてカトリック
   教会内部における教皇と教皇庁への権力の集約がいまだやむことはなかった。
   この伝統は,ナポレオン時代と教皇領の崩壊を生き延び,20世紀に(ラテラノ)
   協約が結ばれる際にあっても,教皇の権威を理論付ける基盤として使われる
   こととなる。確かに,理論面での典拠が変わったが,(略)今日に至るまで,
   教皇は古代末期と中世における先任者や彼らのライバルが遺した成果を礎として,
   それにおおむね立脚する形で存続してきた。同様に(略)さまざまな教義は,
   中世という過去が教皇権の現在のあり方を定める上でどれだけ重要な意味を
   持つかを示すものでもある。(略)「第三世界」の重要性の増大にもかかわらず,
   今日なおイタリアをはじめとするヨーロッパ諸国の出身者が教皇庁の高位の
   官職の多くを占めているということも,ある意味ではこの本が扱った時代の
   遺産である(「まとめと展望」から)。

【主要目次】
【略目次】
序 文
1章 コンスタンティヌス大帝期までのローマのキリスト教信徒共同体
2章 テオドリック大王没時(526年)までの教皇とローマ
3章 ビザンツ支配下の教皇権(774年まで)
4章 カロリング朝支配下の教皇権(774〜904年)
5章 ローマ貴族の影響下の教皇権(904〜1046年)
6章 いわゆる「叙任権闘争」期の教皇権(1046〜1123年)
7章 教皇の権威の構築(1124〜98年)
8章 権力の絶頂期の教皇権(1198〜1303年)
9章 アヴィニョン教皇庁時代(1303〜78年)
10章 シスマと改革(1378〜1447年)
11章 再興とルネサンス(1447〜1534年)
まとめと展望
【著者・訳者紹介】
ベルンハルト・シンメルペニッヒ(Bernhard Schimmelpfennig):1938年ベルリンに生まれる。1982年からアウクスブルク大学中世史教授,2003年に退職し名誉教授。専門は中世教皇史

甚野尚志(じんの たかし) : 1958年生まれ,早稲田大学文学学術院教授
成川岳大(なりかわ たかひろ) : 1979年生まれ,東京大学(西洋史学)博士課程,現在兼任講師
小林亜沙美(こばやし あさみ) : マールブルク大学歴史学部修士課程・博士課程,レーゲンスブルク大学歴史学部教員
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