人間科学叢書46 
ウィーンとヴェルサイユ ウィーンとヴェルサイユ
ヨーロッパにおけるライバル宮廷 
1550〜1780


J.ダインダム著
大津留 厚・小山啓子・石井大輔訳


定価: 本体4,500円+税
2017年3月刊
ISBN978-4-88708-424-7
A5判 頁

在庫あり

*エリアスを超える新しい宮廷研究が始まる!
膨大な史料を駆使,それぞれの人員・費用・宮廷生活・儀式・ヒエラルキーを比較して,新たな宮廷像を描き出し,二つの国家の形成過程における宮廷の役割を照射。エリアスの宮廷論を超える「野心的研究」と評価される

宮廷が歴史研究上の長い眠りから覚めるのに50年という年月がかかった。おそらく、その立役者はノルベルト・エリアスといってよいだろう。宮廷を無視しがちな歴史家たちの中にあって、エリアスは画期的な研究によって、妥当性と正当性のある研究テーマとして宮廷を復活させた……(→本文9頁)

(しかし,今…)エリアスに対する批判が大きくなっています……大事なことは実証研究に基づいてエリアスの誤謬を正し,彼の普遍モデルから生じる先入観に批判の目を向けることです。そうすれば大きな影響力を持ったエリアスの洞察は制約から解き放たれ,人類史としての宮廷と王朝に内在する問題を改めて検証することを可能にするでしょう。(「日本語版への序文」から)

本書のねらいは,第1に,近世の宮廷と政府は別個に存在しており,なおかつ宮廷は政策決定の場である政府からみれば二次的な役割しか果たしていなかったという19世紀以来の考え方に,真っ向から反旗を翻すことであった。第2に,近代国家の形成という視点から宮廷の発展をとらえ,近世の宮廷を,その近代国家体制への貴族の馴致というメカニズムで説明する,ノルベルト・エリアスとそれに影響を受けた諸研究に対する反論である。(「訳者あとがき」から)
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【主要目次】
【略目次】
第1部 序
 第1章 宮廷史研究の諸問題/第2章 近世前夜の王室
第2部 廷臣たち
 第3章 宮廷の人数と費用/第4章 地位と収入
第3部 宮廷生活
 第5章 宮廷生活のカレンダー/第6章 宮廷における儀式と地位
第4部 権 力
 第7章 宮廷における権力のあり方/第8章 国の中心としての宮廷
第5部 結
 第9章 結論と展望
【著者・訳者紹介】
イェルン・ダインダム(Jeroen Duindam):
1962年生,オランダ,ライデン大学近世史講座教授(2010年〜)

大津留厚(おおつるあつし):神戸大学大学院人文学研究科教授
小山啓子(こやまけいこ):神戸大学大学院人文学研究科准教授
石井大輔(いしいだいすけ):龍谷大学他非常勤講師
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