研究書・論文 
第一次大戦と西アフリカ 第一次大戦と西アフリカ
フランスに命を捧げた
黒人部隊「セネガル歩兵」


小川 了著


定価: 本体5,000円+税
2015年5月刊
ISBN978-4-88708-422-3
A5 400頁

在庫あり
第一次大戦時、フランス領西アフリカから駆り出された若者たち「セネガル歩兵」は17万人。人類がそれまでに経験したことのない近代兵器による大量殺戮の場にいきなり送り込まれ、4年余に及んだ戦いで命を失い、傷を負った者は数多い。かつて奴隷貿易が続いた400年のどの4年余に捕らわれた奴隷の数より、大戦時の4年間に徴兵された人数の方がはるかに多いという。歴史の表に出ていなかったこの兵たちの実態を究めたのが本書である
【略目次】
第一部 マンジャン,ジャーニュ、ヴォレノーヴェン―三つの個性
  第1章 第一次大戦前,フランスの社会状況
  第2章 シャルル・マンジャンと西アフリカ植民地兵起用論
  第3章 第一次大戦開戦とフランス領西アフリカ植民地兵
  第4章 ブレーズ・ジャーニュ
  第5章 ジョースト・ヴァン・ヴォレノーヴェン
  第6章 ヴォレノーヴェンの死
第二部 西アフリカ植民地とは何だったのか?
  第7章 フランス植民地統治原理としての同化と協同
  第8章 セネガル歩兵部隊とは何だったのか
  第9章 フランス領西アフリカ植民地連邦
第三部 西アフリカ特派共和国高等弁務官ブレーズ・ジャーニュ
  第10章 西アフリカ特派共和国高等弁務官
  第11章 ヴォレノーヴェンとジャーニュ
  第12章 ブレーズ・ジャーニュ,その後
第四部 補 遺
  補遺1 セネガル歩兵と「女性」/補遺2 第一次大戦後のセネガル歩兵
【書  評】
『史学雑誌』5月号「2015年の歴史学界―回顧と展望」

[アフリカ]p.309

昨年の本欄でも紹介された小川了『ジャーニュとヴァンヴォ』(東京外大・AA研、2014)が、『第一次大戦と西アフリカ』(刀水書房)として出版され、その補遺では、仏領西アフリカから徴兵されたセネガル歩兵と女性の関係性、そして彼らの第一次世界大戦後が扱われる。フランスによる西アフリカ植民地経営の変遷とセネガル歩兵の全体像を明らかにする本書の語りが読者を魅了するのは、著者の関心が二名の人物の伝記的研究に端を発することにも起因するだろう。

[ヨーロッパ(現代―フランス)]p.375

次に植民地に関する研究へ移る。第一次大戦以降、フランスの戦争に植民地兵が用いられたことはよく知られている。しかし、そもそも植民地を教化する使命を大義として掲げる本国が、なぜ自国の戦争に植民地人民を動員するのか、戦争は植民地の開化・教化にどのような役割を果たしたのか、これまで殆ど問われてこなかった。その点を明らかにすべく、小川了『第一次大戦と西アフリカ』(刀水書房)は、植民地兵を起用する理論的根拠を本国側から提供したシャルル・マンジャンと、植民地現地人側から組み立てたブレーズ・ジャーニュとヴァン・ヴォレノーヴェンの言動を考察した。
【著者紹介】
小川 了 おがわ りょう
1944年生まれ。
パリ大学第5(ソルボンヌ)民族学専攻修士課程修了。国立民族学博物館助教授,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。文学博士。現在東京外国語大学名誉教授。主著『可能性としての国家誌 現代アフリカ国家の人と宗教』『奴隷商人ソニエ 18世紀フランスの大西洋奴隷交易とアフリカ社会』『躍動する小生産物』他
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