研究書・論文 
中世後期のセルビアとボスニアにおける君主と社会 中世後期の
セルビアとボスニア
における君主と社会

王冠と政治集会


唐澤秀行著


定価: 本体6,500円+税
2013年2月刊
ISBN978-4-88708-410-0
A5 322頁

在庫あり
12〜15世紀のセルビアとボスニアにおける王権と貴族層の権力関係や,支配層の統治理念を,「王冠」 理念と 「政治集会」 を鍵として分析し,同時代における西欧諸国との共通点・相違点を解明する

【あとがきから】
「本書は,中世後期のセルビアとボスニアにおける統治理念や統治機構のあり方について考えることを目的としている。 旧ユーゴスラヴィアと呼ばれる地域の中世史についてよく知ろうとしても,それにかんする研究はわが国では容易に手に入らない。この地域がビザンツ帝国やオスマン朝,ハンガリー王国に翻弄されつつ,それらの大国から政治思想や統治機構を学び,国や社会を形成していく経緯を明らかにしたい」
「セルビアとボスニアは,一五世紀にオスマン朝の支配下に入り,近世や近代にはルネサンスや産業革命を自前のものとして経験せず,西欧と異なる歴史を歩んだ。だが中世の段階では,ヨーロッパとの共通点をある程度まで有していた。
本書の目的は,そうした共通性を,相違点とともに解明することにあった。(中略)分析するための座標軸として,王冠概念と政治集会を定めた。」
「本書では,セルビア,ボスニア間の相違を念頭に置きつつ,両国がヨーロッパ世界の一員であることを再確認したい。
この二国がヨーロッパの一部であったという視点は,バルカン半島を紛争地帯とみなすステレオタイプ的なイメージを打破するうえで有効と考えられる。」
【略目次】
序 章
 本書の目的/中世セルビアとボスニアにおける「国制」/
 セルビア・ボスニアの相違,ならびに両国と西ヨーロッパ諸国との相違/
 先行研究と考察の方法/セルビアとボスニアの相違点/中世セルビアの歴史/
 中世ボスニアの歴史/本書の構成/本書で扱う史料
第一章 セルビアにおける全国集会と側近会議
 研究上の諸問題/貴族の主体性が認められない全国集会について/
 国制上の主体的要素としての全国集会/側近会議
第二章 ボスニアにおける側近会議と全国集会
 研究上の諸問題/一五世紀前半における大貴族と政治集会/大貴族と中小貴族
第三章 セルビアにおける二つの政治理論
 研究上の諸問題/玉冠/王座/法の下にある王
第四章 ボスニアにおける王冠と社会
 研究上の諸問題/王冠とコナーヴリ戦争(一四三〇〜三二年)
第五章 セルビアとボスニアにおける国家と社会
 本章の課題/国土の拡大と政治集会/教会有機体論と国家有機体論/
 セルビアにおける教会財産の不可譲性について
終 章
【著者紹介】
唐澤晃一  からさわ こういち

早稲田大学文学部非常勤講師
主な業績:S.ノヴァコヴィチ(越村勲との共訳)『セロー中世セルビアの村と家−』刀水書房,
「王冠・貴族と国政ーセルビア・ボスニアを中心にー」小倉欣一編『近世ヨーロッパの東と西』山川出版社ほか
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